法然上人伝全集 187P 法然上人行状絵図 勅伝

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a01 その期にのぞみてもし後悔の一念もおこりぬべし。しからばなにの詮かあらん。上人もいけらば念
a02 佛の功つもり、しなぱ往生うたがはず、とてもかくても、此身にはおもひわづらふ事ぞなきと心得
a03 て、ねんごろに念佛して、畢命を期とせよとこそ、禪勝房にはさづけられけれ。鎭西の聖光房も、
a04 自害往生、燒身往生、入水往生、斷食往生等の事、末代には斟酌すべしと、いましめをかれけると
a05 かや。ゆめゆめこのみ行すべからず、ふかく上人の勸化を信じて、念念相續、畢命爲期の行を、つ
a06 とむべきものなり
a07 第三圖
a08 法然上人行状畫圖 第二十九
a09 比叡山西塔の南谷に、鐘下房の少輔とて、聰敏の住侶ありけり。弟子の兒にをくれて、眼前の無
a10 常におどろき、交衆ものうくおぼえければ、三十六のとし遁世して、上人の弟子となり、成覺房幸
a11 西と號しけるが、淨土の法門をもとならへる天台宗にひきいれて、迹門の彌陀、本門の彌陀といふ
a12 ことをたてて、十劫正覺といへるは迹門の彌陀と。本門の彌陀は無始本覺の如來なるがゆへに。我
a13 等所具の佛性と、またく差異なし。この謂をきく一念にことたりぬ。多念の遍數、はなはだ無益な
a14 りと云て、一念義といふ事を自立しけるを、上人、此義善導和尚の御心にそむけり。はなはだしか