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詳細情報 |
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叡空上人より禀承す。加之、日夜報恩藏に入りて一 |
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切經を披閲し、自佗宗の章疏研尋せすといふことな |
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し。其性の俊秀なる、難解の書と雖も三讀すれは文 |
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義自から通暢す。此を以て早く一代の敎旨に達し、 |
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悉く八宗の要領を得たまへり。 |
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保元元年 二十四歳 叡空の室を辭し、求法を嵯峨淸凉寺に |
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祈り、尋いて諸宗の碩學を歷訪して、其蘊奧を叩き、 |
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自解の分齊を述ふ。法相の藏俊、三論の寬雅、華嚴 |
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の慶雅等、皆其造詣の深きを嘆賞せさるなし。 |
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かくて大師智惠第一の譽街に滿ち、多聞廣學の聞世 |
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に普しと雖も、尚ほ自ら三學の器に非さるを覺り、 |
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出離の道に煩ひて寢食安からす。順次解脱の要路を |
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知らんか爲に、再ひ黑谷に籠居し、周覽年を積み一 |
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切經を披閲し給ふこと五遍。特に善導和尚の疏釋を三 |
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讀して、『觀經散善義』の「一心專念彌陀名號、行住 |
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坐臥不問時節久近、念念不捨者、是名正定之業、 |
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順彼佛願故」の文に至り、豁然として、彌陀大悲 |
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の救濟は釋尊出世の本懷にして、凡夫解脱の捷徑は |
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念佛往生の一門に在りと決擇し、立地に顯密の行業 |
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を閣き、專修念佛の一行に歸し、日課稱名六萬遍の |
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行者となり給へり。建久十年更に一萬遍を加ふ時に 高倉天皇承安 |
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五年三月壽四十三。之を淨土開宗の紀元とす。 |
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是に於て山を下り、庵を洛東吉水の邊當山御影堂の地に結ひ、 |
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專ら淨土の法を演へ、念佛の行を勸めたまふ。機縁 |
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の熟するところ化導日に盛にして歸するもの雲霞の |
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如し。 |
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然れども諸宗の學匠また大師の所立を肯せす。文治 |
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二年の秋大師五十四歳顯眞法印後ち天台座主に補すの請に應し、洛北 |
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大原に赴き、諸宗の碩學三百餘人明遍、證眞、貞慶、智海、湛斆、永辨、靜嚴等其上首 |
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たりと會して、一日一夜論談往復を重ね、具さに念佛 |
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往生の時機に相應せる所以を宣説したまへは、滿座 |
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悉く信服し、「形を見れは源空上人、實には彌陀如來 |
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の應現か」と感嘆しけるとなん。世に之を大原問答 |
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と稱す。是より法運益益開く。 |
