第16巻 635P 円光大師行状画図翼賛 円智・義山

No. 詳細情報
a01 ヨリ歸洛ノ後始テ大谷ノ禪房ヲ得給ヘリ是故ニ彼
a02 遺狀ニハ此外ニ房舍ナシト云テ此傳ニハ此禪室ヲ
a03 勢觀房ニ付屬ト聞エタリ又此禪室ハ慈鎭和尚ノ寄
a04 附スル所ニシテ勢觀房マタ彼和尚ノ門室ニ參ゼラ
a05 ル今此禪室ヲ此御房ニ遺屬アラン事良ニ由アリト
a06 聞ユ又信空大德聖敎ヲ得ラルトイヘトモ纔ニ大部
a07 六十卷等ノミナリ此外所有聖敎總ジテ勢觀房ノ
a08 所得ト云事亦知ヌヘシ又本尊付屬ノ事此像今尚現
a09 在マシマシテ下愚モ拜見シキ立像三尺餘ノ彌陀金
a10 泥彩色以下ノ巧妙凡工ノ所爲ニハアラジ今南禪寺
a11 ノ總門ノ北ノ傍民居ノ村中ニ西福寺ト云草堂アテ
a12 此尊像ヲ安置セリ相傳此地ハ古シヘ法勝寺ノ境
a13 内ニシテ即其一院ナリシガ勢觀上人居住マシマシ
a14 テ此像ヲ安置セラルト是則上人付屬ノ遺像ナル由
a15 御房手自漆ヲ以テ尊像ノ背後ニ記セラル其詞云
a16 上人之御安置佛則其送給
a17 建保三割注乙亥割注秋當寺住同四割注丙子割注正月十九日二十五日迄
b01 於當院別時念佛執行 割注沙門割注勢觀源智
b02 割注●建久九年ハ勢觀房十三ノ入室ヨリ四年時ニ年十六也遺屬ナキ事知ヌヘシ割注
b03 上人終焉の期ちかづき給て。勢觀房。念佛の安心年
b04 來御敎誡にあづかるといへとも。なを御自筆に肝要
b05 の御所存一ふであそばされて。たまはりて。のちの御
b06 かた見にそなへ侍らんと申されたりけれは。御筆を
b07 そめられける狀云。もろこし我朝。もろもろの智者
b08 たちのさたし申さるる。觀念の念にもあらす。又學
b09 問して。念佛の心をさとりなどして申念佛にもあら
b10 す。ただ往生極樂のためには。南無阿彌陀佛と申て。
b11 うたがひなく。往生するぞとおもひとりて申ほかに
b12 は。別の子細さふらはす。ただし三心四修など申こ
b13 との候は决定して南無阿彌陀佛にて往生するそと。
b14 おもふうちにこもり候なり。このほかにおくふかき
b15 ことを存ぜは。二尊のあはれみにはづれ。本願にもれ
b16 候へし。念佛を信ぜん人は。たとひ一代の法をよく