挨拶

浄土宗宗務総長 里見法雄

このたび、宗祖法然上人800年大遠忌を記念し、浄土宗教学院と本宗の合同事業として「浄土宗全書」検索システムが完成されましたことに際し、ご尽瘁いただきました関係各位に深甚の感謝と御礼を申し上げます。

本宗におきましては、これまで数多くの研究者のたゆまぬ努力により、浄土教学は赫々たる成果を挙げてまいりましたが、宗祖大師の800回忌を卜して「浄土宗全書」検索システムが完成されましたことは、今後の宗内外における学術研究の環境整備に貢献するのみならず、若手学究者の育成に資すること大なるものがあると承知いたしております。

「浄土宗全書」全23巻は、経論釈疏をはじめ撰述、伝記、寺誌など286部863巻に及ぶ集大成であり、今を去る100年前の700年大遠忌に発刊されたものであります。まさに100年後の今日に至り、電子テキスト化されましたことに感慨ひとしおのものがあります。

布教、法式は言うに及ばず、宗門の為すこと全ては、学問的うらづけのもとで行われていることに思いをいたすとき、この検索システムの完成は、法然教学の研究が飛躍的に発展し、まさに輝ける本宗の未来に繋がっていくことを確信いたしております。

宗門諸大徳におかれましては、どうかこのシステムを有意義にご活用いただきますようお願い申し上げます。

末筆にあたり、浄土宗教学院理事長の勧学職丸山博正上人をはじめ、この事業に携わっていただきました関係各位のご労苦にあらためて敬意を申し上げご挨拶といたします。

平成23年2月

浄土宗教学院理事長 丸山博正

このたび「浄土宗全書検索システム」が完成したことは誠に喜ばしいことである。およそ浄土宗関係はもとより、何らかの関係で浄土教を知りたい人も『浄土宗全書』を繙く。このように需要が多い本全書に検索システムができたことを共に喜びたい。

そもそも『浄土宗全書』の出版は『浄土宗大辞典』によると宗祖法然上人700年大遠忌を迎えるにさきだって、明治39年の春、遠忌報恩記念として浄土宗の宗典を出版する議が提唱されたことからスタートしている。浄土宗宗典刊行会が結成され、趣意書に「宗典は実に浄土宗の一切経なり。上は仏陀の遺教より印度・震旦・吾朝の列祖、各派の碩徳の著述にして、他力易行の法門に関するものは悉く之を収め、殊に宗祖大師巳来七百年間に渉るあらゆる著述、細大洩さず之を蒐集せんとす」と記している。

更に昭和3年には校正、再版され、解題が加わり、最近では開宗八百年記念事業として慶讃準備局「浄全月報」をそえて刊行された。

このように『浄土宗全書』は数回に渉って刊行されている。そのような先人の努力をかみしめて検索システムを使っていただきたいものである。

終わりになったが、浄土宗全書電子化小委員会の方々、浄土宗教学局および浄土宗宗祖法然上人800年大遠忌事務局においてご協力いただいた皆様、更には(株)廣済堂の方々、アルバイトで作業をお手伝いいただいた方々、その他本システムの作成に関してご尽力いただいた方々にこの場を借りて御礼を申し上げる。

平成23年2月

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